MCMNET主催
「極東米海軍横須賀基地・特別見学会」

はじめに

キティホーク

私たちMCMNETでは”有事法制”を体感するため、通常は入れない米極東海軍の最大基地「横須賀基地」を基地広報官随行のもと、特別に見学させていただきました。(平成14年7月23日)

ちなみに今回の参加費は、食事付きで5000円でした。

このページでは、当日の模様をご紹介したいと思います。なおMCMNETでは、こうした勉強会を定期的に開いております。どうぞお気軽にご参加ください。

横須賀駅に集合

横須賀駅

朝10時、集合場所の横須賀駅。

すでにたくさんの参加者の方が集まっていました。そこには若者から年配の方、男性、女性とバラエティに富んだ顔ぶれ。

知人、友人、ご家族の方と一緒に申し込んだ方、一人で来ていらっしゃる方。研究、運動家らしい方から観光気分で気軽にいらっしゃった方まで、さまざまです。

基地のバスで、ゲートを通過

バス

どことなくアメリカの雰囲気が漂うレトロなバスで、基地ゲートに向かいます。

写真左が本日ずっと随行してくださった古宇田和夫さん。海上自衛隊でもと潜水艦クルーをしていたというその眼光は鋭く、軍人独特の風格が漂います。

基地ゲートではセキュリティを理由に、バス車内に立っている人がいると通過できない決まりがあるそうで、全員着席させられます。

空母キティホーク

キティホーク

基地にはいると早速、停泊中の航空母艦『キティホーク』の見学です。

母港に戻っている空母は、艦載機をすでに下ろしており、写真を見てわかる通り、全面にネットが張られ、修理・整備中です。

大勢の米国人クルーや日本人作業員がそれをとりかこみ、そこかしこで作業を行なっています。溶接やら何やらの騒音が鳴り響き、あたかも工事現場のよう。

入口にはもちろん軍人が数名で、チェックを行なっています。

本当に大勢の人がここにはいましたが、普段の乗員は2800人。これに航空団を含めた総数で5500人もの人間が、内部で生活出来るようになっています。(1日に焼くパンはなんと約1000斤。床屋が2軒、牧師が3名、病院ベッド数は65!)

横須賀基地の施設について

建物

横須賀基地には、このような屋根の建物をはじめ、多くの古い建築物や、造船用のドック、巨大なガントリークレーンなどがあります。

どれも非常に立派なものですが、これらはほとんどすべて旧日本帝國海軍が建造した物です。

米軍は、当時の世界最高レベルの高い技術が集められた横須賀の海軍工廠には空爆をせず、戦後に自国の基地として利用したわけです。

その機材類は、現代でも通用するほどの高いクォリティで、ドックやクレーンなどはいまもって現役で、米軍最新鋭の艦船に使用されています。

また、あまり一般には知られていませんが、こういった帝國海軍の遺産ともいうべき高価な機材や高い技術は、戦後フィリピンなどに無償で(補償として)送られています。

空母艦載機について

艦載機倉庫

空母の内部。艦載機(75機以上)を収容するフロアです。

見ての通り、いまは艦載機は一機も存在せず、資材置き場と化しています。

空母キティホークには、第5空母航空団が割り当てられています。主要な艦載機としては、攻撃、迎撃両方に活躍する多目的戦闘機F/A18Cホーネット、現代の戦闘には不可欠な電子戦を行なうEA6-Bプラウラー、対潜ヘリのSH-60Fシーホーク、機体上部の円形電子ドームが特徴の早期警戒機E-2Cホークアイなどがあります。

固定穴

これは、空母の内部、航空機がある場所の床にはそこら中にあります。

実は、ここに艦載機を固定するしくみになっています。とても小さなものですが、強度は相当なものなのでしょう。

飛行甲板にて

飛行甲板

飛行甲板というより、巨大なビルの屋上といった感じです。非常に広いです。景色が良く見えます……。

カタパルト

これはカタパルトのレールです。長さは79.7メートルあります。本体ははずしてあります。

この蒸気圧カタパルトの発明により、高重量なジェット戦闘機を短い甲板から離陸させることが可能になりました。

なお着艦は、制御ワイヤーを使って強制ブレーキをかけて行ないますが、これは「制御された墜落」といわれるほど機体に大きな負担がかかるものです。

このため艦載機は空軍の航空機より設計上の制限が大きくなりますが、それがかえって傑作機と呼ばれる機体が多く生まれる理由だとも言われています。

F14とクルーたち

F14

甲板上に1機だけ残っていたF14Aトムキャット戦闘機です。

ご覧の通り、エンジンから武装まで全て取り外され、空っぽです。しかし、可変翼の個性的な機体は、威圧感充分です。

F14はアメリカ映画『トップガン』にも登場した制空戦闘機ですが、射程数100キロというフェニックスミサイルシステム(1発の価格もとんでもなく高いですが)を搭載する唯一の戦闘機であり、その圧倒的な長射程から、世界最強の制空戦闘機という人もいます。

高性能なAWG-9レーダーとあわせてこのシステムは、24の目標を同時に追尾し、そのうち6つを攻撃する事が出来るというとんでもない能力をもっています。

空母クルー

左は空母内の案内を担当してくださった、クルーの皆さんです。

彼らはにこにこと愛想も良いし、彼ら以外のすれ違った米軍人たちも、それぞれ声をかけてくれたりしてフレンドリーです。軍隊という言葉からイメージされる抑圧的な雰囲気は一切感じられません。

現在米軍では、女性兵士も増えておりすでに約1割。最近では駆逐艦の女性艦長も誕生したということです。

食事は将校用のレストランハウスで

ランチタイム

お楽しみのランチタイムです。

空母を降りたあと、バスで将校用のレストランハウスに到着。そこで本日随行の古宇田さんの、なかなか普段は聞けない軍隊での裏話を聴きながら食事です。

テーブルの上にはすでにデキャンタの赤ワインが用意され、リラックスした時間を演出します。

ランチメニュー

メニューは、分厚いヒレステーキのベーコン巻きという、いかにもアメリカらしい物。デザートはアイスクリームでした。

クリームチーズをたっぷり塗ったパンやレッドワインと一緒に、皆さん堪能していたようです。

午後はブリーフィング

艦隊指揮活動部

この建物内で、午後はブリーフィングです。

室内は、ハリウッド映画に出てくる作戦会議室のような雰囲気で、そこでスライドを見ながら米軍の広報資料などを解説。

その後、めったにない機会という事で、自衛隊や米軍での活動経験豊富な古宇田さんへたくさんの質問が飛びました。

議論になる展開もあり、聞いていて飽きない時間を過ごしました。

このあとはバスで基地内を見学です。

大和型戦艦3番艦である信濃(建造中に空母に改造)が作られた6番ドック(現在では多少拡張され、キティホーククラスでも入れるようになっている)や、原子力潜水艦の外観を見学。

めったにない経験と、なかなか聞く事のできない生きた講義を体験でき、非常に充実した1日だったと思います。

MCMNETでは、今後もこういったイベントを開催していきますので、みなさんもぜひお気軽にご参加ください。問い合わせはいつでもお待ちしております。

平成14年8月1日 記